最上階に転落

惨憺たる喜劇であれ

君の言葉に傷つけられてもいいと思った夜

大好きな友達がいます。
ずっと大好きだけどまともな人だから
私はその隔たりに傷ついてきた
メンヘラが嫌いで、生活保護で生きてる人間は音とか鳴って欲しいよねとか言う
福祉の欠片もない君
私は弱者でいつ自分が社会的保護に合うか分からないから
その言葉に頷けなかったけど
君の言葉になにも言えなかったのは私も君が正しいと思っていたから。
親に感謝すべきだと思っているだろうと思ったし
私の家が羨ましいと言う君
だから君の望む家庭の子供のフリをしていたんだ。

君の家に久々に泊まって
布団に入ったのにずっと下らない話で夜更かしをして
やっぱり君と話すのは楽しいなって思った
そして、ふと君が私に東京に出ておいでよっていつものように言って
私と話すたび君はそう言うからいつものように行きたいねーって流せば本当にいつも通りだったけれど
今の私には東京に出ていく予定があって
それはほぼ失踪に近いけど
君と話す夜があんまりに楽しいからそれを隠しているのが嫌になっちゃった
何て言われるか分からなくて
親に応援されるような自立ではなくて
これは本当に家族に対する裏切りだけど
君に応援なんかされなくたって私は引っ越すけど
否定されても、窘められても、慰められても
それでも私は君のことずっと好きだなって分かったから
傷つけられてもいいと思えたから
だから君に話したんだ
やっぱり君は話し合えばって言いかけたけど
まぁ、でも嬉しいからしちゃいなよ、失踪って言われて
私はびっくりするほど安心したんだ
あの日から黙っていることが君との最適解だと思っていたから
分かり合う気なんかずっと前に無くしてたけど
本当は私、ずっと君に知ってほしくて、分かってほしくて、応援してほしかったんだね
こんなことで泣くのはシリアスすぎるから泣かなかったし、泣きそうでもなかったけど
本当に嬉しかったんだよ

黙っていることで苛まれた五年間も無駄じゃなかったし
ずっと君のこと大好きだったけれど
こんな憂いに意味はなかったね。
君は私の味方だったんだから。